【今更聞けない】Layer2で双璧を成すOptimismを解説

注目情報

前書き

Layer2の中でもOptimismは、Arbitrumと並んで注目されているプロジェクトなので、名前は知っている方も多いと思います。今回はその注目される理由を解説します。

Arbitrumについてはこちらをご覧ください。

Optimismとはなんなのか?

Optimismは、Ethereumにある様々な課題を解決するL2ブロックチェーン「OP Mainnet」(1)を開発しています。
EVMで開発されたDApp(Decentralized Application)(2)を高速かつ低コストで処理できます。
Optimismは2021年12月にメインネットが一般開放され、仮想通貨業界で有名なVCである、アンドリーセン・ホロヴィッツ(Andreessen Horowitz:通称a16z)からも出資を受けるなどしており、業界でも非常に注目されています。
2022年4月には独自トークンであるOPトークンの発行を発表し、2022年5月31日からOPトークンの1回目のエアドロップが実施されました。

また、2022年6月1日にOPトークンはCoinbaseで上場し、相次いで様々な大手海外取引所でも上場したことで市場から広く注目され、現在2023年11月22日のL2カテゴリでのマーケットシェアではArbitrum Oneに次いで2位となっています。

(1)母体であるOptimismがこれまで運営してきたチェーンの名称が6月24日「OP Mainnet」に変更すると発表された。
(2)ブロックチェーンを基盤として構築される「分散型アプリ」のこと。例えばUniswapなど。

Optimismの基本的な仕組み

・Layer1の複雑な計算処理を行う
・取引データを圧縮して複数の取引をひとまとめにする
・Layer1に送信する


というOptimistic Rollup技術を採用しスケーラビリティ(取引処理能力の向上)を実現しています。Optimisticの「楽観」という名の通りEthereumに提出されるデータは全て正当なものだという前提に基づいて機能することにより、効率的な認証を実現しています。
全ての取引が正当なものである場合は、何もせずに提出されたデータはブロックに取り込まれていきます。
もしも不正なトランザクションが発見された場合は、その取引に異議申し立てができます。
その場合Ethereum上での検証に必要な情報を提供し、不正があったと判断された場合その取引は無効になりシーケンサ(3)が預け入れた担保の一部は没収されます。残りは不正の証明に貢献した検証者に分配されます。
この仕組みにより、Ethereumが強みとするセキュリティを維持しながら取引手数料の軽減、高速取引を可能にしています。

(3)トランザクションをまとめて、Ethereumネットワーク上に書き込むノード。ブロック生成などを担い、L1でのマイナーに似たものになります。

OPトークンについて

OPトークンはOptimismのガバナンストークン(4)です。
OPトークンを発行しているOptimism Collectiveは2つのガバナンスシステムを用意するとしています。それがToken HouseとCitizens’ Houseです。
Optimismという公共財を創造または維持する人々に報酬を与えるための新しいモデルとなります。
Token Houseは、インセンティブなどの初期分配を管理する事として存在し、
OPトークンを介した投票が行われ、プロトコルのアップグレードなどが決定されます。
Citizens’ Houseは、Optimismのネットワーク収益を利用してガバナンスを実現します。​​Citizens’ Houseでは、NFTであるCitizenshipが投票権となります。
ガバナンス参加者がOptimismのために誠実な行動をとる可能性が高いというアイデアのもとこの2つのガバナンスシステムが取り入れられました。

また、Optimismでは定期的にエアドロップを行っており、最近ではOPトークンの3回目のエアドロップ(5)が2023年9月19日に実施されました。エアドロップされたOPの総量は約1,900万枚超となり、約31,870のアドレスに割り当てが行われました。
最終的にOP総供給量の19%がエアドロップによってユーザーに配布される予定で、これからもエアドロップは継続的に実施される見込みです。
これはOptimismという公共財に対しての貢献を引き付けるためであり、
OP MainnetでDappsを積極的に活用したり、投票に参加することなどが過去のエアドロ対象条件になっています。

また、OPトークンは、デリゲートする事ができます。
デリゲートとは、OPトークンをガバナンス参加者に委任することで、かわりに投票をしてもらうことです。重要な意思決定に関わるのは面倒という課題を解決します。
デリゲートは将来のエアドロップ対象の条件になる可能性が非常に高いので、ただOPトークンを持っているだけよりはデリゲートする方がお得です。

(4)Optimismの重要事項決定に参加し、投票する権利を有します。
(5)暗号資産プロジェクトがトークンを発行する際、初期の貢献者やプロダクトユーザーに対してそのトークンを無料配布すること

Allocations at a glance
割り当ての概要

出典:Optimism Docs

OP Stackについて

OP Stackとは
Optimismと互換性のある技術を使ってL2を構築できるのがOp Stackです。Optimismが提供しています。主に以下のような特徴があります。

・コードベースがシンプルに保たれている
「コードベースをシンプルに保つことが、巨大な開発コミュニティの構築につながる」という理念が公式ドキュメントに記されています。
シンプルなコードやインフラを使っているため外部の開発者でも扱いやすくなっています。

・モジュラー式で効率的な開発ができる
ブロックチェーンの構築に必要な機能がモジュールで提供されており、それらを組み合わせることで効率的な開発を行うことができます。
イメージとしてはレゴブロックのような感じです。

・Ethereumとの互換性
OPstackは、Ethereum上の開発ツールとの互換性があります。
Ethereumのリソースを活用しながら独自の開発ができるのはエンジニアにとって良い環境と言えます。

上記のような開発しやすい特性やMITライセンスという扱いやすいライセンス形態により、CoinbaseのBASEチェーンや、BybitのMantleなど、様々な大手事業者がOP Stackを利用して開発しています。

今後の展望、将来性は?

Layer2ソリューションにおいて、今現在Arbitrumに次いで人気があるのはOptimismです。
Zk Rollupの導入も予定されており、UX向上が見込まれることででさらに期待が高まりそうです。

クリプト界の大御所であるa16z(Andreessen Horowitz)(6)はOptimismを高く評価しており、Optimismへの出資を通して、成長を続けるEthereumのエコシステムをサポートしたいと説明しています。
また、BaseとOptimismは新たな収入ガバナンス共有協定を発表しています。これは、Baseのシーケンサー報酬で発生した収益を、Optimism Collectiveに対して還元するという内容のものです。
これはつまり、Baseチェーンでの取引が活発化すればするほどOptimismが大きな収益を得られるということであり、当初は批判的な意見もありましたが、多くの投資家から大きな期待が寄せられています。更に、今後もOptimismからのエアドロップは継続的に予定されており、過去には毎度少なくない量のOPトークンが配布されています。

上記を踏まえるとOptimismはしばらく右肩上がりの成長を継続しそうですが、Optimismの他にもL2プロジェクトにはシェアNo1で未だ勢いのあるArbitrumや、独自の技術で先行しているZkSyncなどの強力なライバルが多くいます。今後のEthereumの大型アップデートなども大きく影響していきそうです。

(6)会社としての正式名称は「AH Capital Management, L.L.C.」2009年に、マーク・アンドリーセンとベン・ホロウィッツによって設立されたベンチャーキャピタル会社です。
(“a16z”)はAndreessen Horowitzの略称です。

まとめ

今までお伝えしてきた通り、Optimismには様々な最先端の技術と魅力的なエアドロップやガバナンスを活性化する仕組みがあり、L2競争の中でも魅力を発揮していくことは間違いないでしょう。

また、Coinbaseとの提携は大変大きく、開発の面でもCoinbaseはOptimismエコシステムに対して大きなコミットをしています。個人的には、共有された価値観とビジョンが融合した時に、何が可能になるのかを実現するものでもあるというOptimism Collectiveでの言葉が心に残ります。
2023年も残り少なくなり、年末年始には一年の区切りとしてプロジェクトが新情報を発表するなど、色々な情報が飛び交うので、より良い情報収集するために熱が入ります。

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